ミキシングのショートヒント


 

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ミキシング時に使える短いヒントをまとめています。

 

EQ

ベースやバスドラ以外のサウンドに、120Hzあたりにハイパスフィルターをかけてみましょう。低域がクリアになります。

 

どのサウンドも、350Hz-550Hzあたりのカットを試してみましょう。このあたりに音が密集していると、もこもこっとします。

 

ローパスフィルター10Khzあたりでかけてみましょう。シンバル用の高域スペースが確保されます。

 

ハイハットは11.1Khzあたりを少しだけブーストすると、よりクリアになります。

 

・サウンドのぶつかり合い回避、まとまり

EQ処理をする前に、同じ位置で鳴っている音を、ぶつからないように別の位置にパンしておきましょう。

 

ドラムには、グループチャンネルでリヴァーブとコンプレッサーをかけると、各音がよくまざりあいます。

 

リヴァーブやディレイのセッティングを各サウンドで異なったものにすると、3次元の奥行が出ます。

 


おとやガイドの方向性


 

【「おとやガイド」は教育的な立場から発信している】

 

わたしは音楽活動(主に作曲)をしていて、人々にも作曲を教えようとしていますが、

 

日本の多くのレッスンやスクールで言っているように、

 

「音楽で食おう!」

「メジャーデビューを目指して」

「夢を実現」

「あこがれのミュージシャンと同じステージへ」

 

などというメッセージは一切出していません。

 

なぜなら、このようなスクールとは目指すものが異なるからです。

 

ですので、上記のようなことを実現するための詳細な情報は、わたしからは得られないと思ってくれた方がいいです。

 

わたしの提供する知識は、むしろ上記の方向性とは逆に進む上で役に立つことが多いです。

 

すなわち

・メジャーデビューは目指さない

・音楽だけで食おうとしない

・あこがれのミュージシャンと同じステージに立たない

 

ということです。

 

なぜなら、「おとやガイド」の目的は、音楽をやる人たちをそういう限定的な目的にフォーカスさせることではないからです。

 

音楽をやること、とくに作曲という知的営みは、思考力や感性を楽しみながら高めることになる、総合的な能力開発のツールとして発達する可能性があると思っています。

 

だから、人々に音楽をやる喜び、作曲をする楽しみを知ってもらって、自分の新たな可能性を広げてもらいたい。

 

そして、多様な知識や感性を身につけて、ユニークな人になってもらいたい。

 

そういう、教育的な思考でやっているのが「おとやガイド」です。

 

たとえば、作曲とは言語学習です。

 

曲をつくる際は、言語表現と同じように、文法・論理・修辞法という、言語運用に重要な三要素を踏まえた上で、

 

人に伝わりやすい、楽しませやすい表現をすることが重要です。

 

特に、作曲における「論理」は重要で、一定のルールに基づいて楽想を進めることが求められます。

 

音楽でいう論理とは、例えばAメロの後にBメロがきてサビに向かうとか、ハ長調なら曲尾はハ長調のトニックの和音で終わるとかいうことが言えます。「メロディを人に伝えるための一定の規則」です。

 

しかし、音楽は「感性」でやるものだから、論理とかルールなんてものはまったく構わないものである、という誤解は非常に強く、

 

理論や形式論といったことはいつも毛嫌いされてしまっています。

 

しかし、音楽は言語であり、数学なのです。

 

もとより感性が意識されなくとも発揮されるものであるからこそ、論理やフォームを使って整えることで、カオス状態からメロディを救うことができ、結果、多くの人の心に響くすばらしい楽曲が生まれるのです。

 

「論理エンジン」で有名な出口汪先生は、「論理のない言語表現は赤ん坊の鳴き声と同じ」とおっしゃっていますが、

 

論理のない音楽などまさに赤ん坊の叫びと同じ、それはノイズでしかないのです。

 

「人間同士は生きてきた文脈も経験もまったく異なるのだから、論理という最低限のルールを守らなければ、コミュニケーションは成り立たない。論理という大切なものが見過ごされてきたせいで、いま日本は危機に瀕している」ということ趣旨のことが、出口先生の著書『日本語の練習問題』などでよく書かれています。

 

「いや、アートだから」「考えるより感じるのが大事だから」「感覚の問題」という方もいるでしょう。

それも、一人で楽しんでいる分にはいいのです。どんどんやってください。

 

しかしそれを人に押し付けて「熱い思いは伝わったはず」とか言ったり、「買って」とかやったら、相手にとってはたまったもんじゃないでしょう。誰が買うか!です。

 

そういう人がきちんとルールを守って、きちんとした「おとや」になるために、ガイドが必要なのです。

 

コアなファンがいるなら別として、誰もあなたに興味がない段階では、伝えるためのルールを使わない限り、誰もあなたの曲を欲しいとは思いません。

 

そういうバンドマンの必死な「CD買って」アピールほどうっとうしいものはないということを、わたしたちおよび当事者たちは自覚しなければなりません。

 

意味のわからない変なものを好きな方もたまにいますが、どんな変人も、社会の一部である以上、最低限論理を介さなくては、言葉が通じません。論理は絶対に必要です。

 

日本人に欠けている論理的思考を、音楽という感性に直接的な体験を通して溶け込ませることで、鍛えることができるのではないかと思っています。

 

別に音楽を使わなくても学習できることですが、音楽を使ってもできるのです。しかも体感を通して、楽しく。

 

どうせなら、楽しくやりましょう。

 

その上で、本格的にバンド活動をはじめたり、音楽活動で社会に影響を与えたいという人のために、

 

マネジメント的な情報も公開しています。

 

それによって、人とのコミュニケーションも豊かにできると思っています。

 

まとめ

「おとやガイド」の定義

 

・おとやガイドは、自身の能力開発・知的成長のために、音楽を楽しむ情報・作曲方法を提供する

・自分の音楽を追求する上で他者(社会)との関係性が拡大する場合、自立するためのマネジメント方法を提供する

 

です。

 

これを理念として情報を取材し、編集して提供しています。

 

実はわたしがよく参照している海外サイトも、教育的な目的で運営されていることがほとんどです。「メジャーデビューしよう」「音楽で食おう」なんてコピーを全面に出しているところはあまり見かけません。

 

それだけ、音楽が解放されているということです。

 

日本では音楽は「一部の人の特権」「才能がある人のもの」という意識が強い。それは間違いです。

音楽をやることで、確実に人間的に成長できる。単なる娯楽を越えて、自己成長に利用できるのが音楽です。

 

もっと一般教養的に、人々が作曲をできるくらいの論理力と感性があると、社会はもっと楽しくなるのではないでしょうか。

 

ちいさなおんがくニュースレター【おとやガイド】
ゲームの音楽・コード理論・おとやのしごと情報
http://tinyurl.com/lso5ey3


リスナー参加型音楽


ゲーム音楽の双方向性について

ふつう、音楽とリスナーの関係は一方通行だ。音源化された曲、ステージ上で演奏される音楽が、一方的に聴衆に与えられる。

データ化された楽曲はとうぜんのこと、ライブでの生演奏でさえ、曲そのものに関しては聴衆は一切コントロールすることはできない。作り手と受け手は、ステージの上と下でまっぷたつに分断されていて、そこには覆しようのない主従関係がある。

しかし、ゲームの音楽は例外。音楽とリスナーに双方向性がある。

どういうことかというと、ゲームの音楽には、プレイヤーの操作によって、ある程度変化するようにプログラミングされているものがあるのだ。

つまり、ゲームの音楽というのはそのままでは未完成で、ゲームの進行に合わせてプレイヤーとともに創り上げていくのであって、それが演出に一役買っている。

プレイヤーを音楽体験に参加させるという意味で、ライブと同じような臨場感が得られるだけでなく、曲そのものにも変化を与えられる。

これはただ一方的に流すことしかできない映画音楽との決定的な違いだ。ゲームの音楽は、このような作り手と受け手が相互に補いあう関係をつくりだし、両者の関係をフラットにしたのだ。

例えば、前回のMOTHER『エイトメロディーズ』のように、進行するにつれてメロディーが増えて、最後に完成するというやつもそう。

ちなみにMOTHERは『3』でも音楽を効果的にゲーム性に利用していて、バトル中のキャラクターの攻撃音がキャラごとにギターだったり、ベースだったり、ピアノだったり、打楽器だったり振り分けられていて、BGMに即興演奏のようにうまくのるように仕掛けられているのがおもしろい。

マリオなんかでは、ステージクリアに時間制限があると、タイムリミットが近づくにつれて、テンポが速くなったりする。ヨッシーにのると、メロディーにパーカッションが加わり、強くなった感が出る。
ゼルダの伝説-『時のオカリナ』『風のタクト』『ムジュラの仮面』などでは、オカリナや指揮棒やラッパや太鼓などの楽器アイテムを演奏することで仕掛けが作動する。

このような、プレイヤーの操作に連動して変化する音楽性は、ゲーム音楽でしか表現できない独自の特徴だとして、任天堂は「インタラクティブ性」と名付けた。
これらの例は有名なものだが、たいていのゲームでも、BGMと効果音は非常に相性がよく違和感ないようにつくられている。

単体で聴くと味気ないBGMでも、プレイヤーの操作によってコロコロ追加される効果音によって、いきいきとした音楽になるように工夫されている。

『武蔵伝』というゲームは、迷子になったお城の楽団員を集めることで(それがメインのゲームじゃないけど)、ゲーム中のBGMで演奏されるパートが増えていく。

最初はリズムとバッキングパートしかなかったBGMが、楽団員を救出するたびに、メロディがふえ、打楽器がふえ、ハモりがふえ、オブリガートがふえ、徐々ににぎやかなミニオーケストラ演奏になっていく。

曲がだんだん完成していって、盛り上がっていく感じもよかったけど、なによりじぶんが助けた人が、ちゃんと存在していて、音楽でありがとうと言ってくれているみたいで、助けたんだっていう実感が湧くのがすごく嬉しかった。曲自体もすごく素敵。作曲者は関戸剛さん。植松伸夫さんのFFバンドBRACK MAGESでギター弾いている人。