検索の罠


今回は吉松隆さんを紹介しようと思います。

http://homepage3.nifty.com/t-yoshimatsu/~data/BOOKS/12keiwords.html

このインタビューはかなりおもしろいです。

一応クラシック界の人ですが、プログレッシブロックの影響を受けていて、
異色の作風を書くことで有名。

からだの中にデフォルトで変拍子が流れているタイプの人です。

大河ドラマ「清盛」で伝説のプログレバンドELPの名曲「タルカス」をアレンジしたことが記憶に新しい。
この起用はびっくりしましたね。スタッフロールにキース・エマーソンてでてるんだから「ええ!なんで」
となりましたね、当時は。

わたしがレッスンサイトや情報リソースを提示するとき、トピックよりも「人」に注目しているのは、

「テクニックトラップ」や「検索の罠」にハマってほしくないからです。

「テクニックトラップ」「検索の罠」とは、例をあげると・・・

作曲でも何でも、勉強の初期衝動から年月が過ぎ、基礎知識を一通り習得したあたりで、

あるとき成長が頭打ちになって、次の段階にいくために何をしたらいいかわからなくなります。

どの作曲の本を読んでも、だいたいの基礎のことはわかるようになってしまった。
応用に行くにはどこからはじめたらいいのか。ここで迷う。

たいてい、基礎理論というのはやることが決まっているので、学習するのは簡単です。
大事な部分をやればいいだけだから。
しかし、応用とか発展となると、一人一人の目指すスタイルによってまるで方向性がカオスだから、
理論など作りようがない。
すると、目指すスタイルが確立できていないうちは、まだ知らないことはないか、勉強していないことはないかと、

枝葉のテクニックやスキル情報に惑わされて、本屋やネットで必要なスキルの情報を探してまわることになります。
これがテクニックトラップ&検索症候群です。

たしかに、応用やアレンジを学ぶには、基礎となる理論というものがない(個別のジャンルに踏み入ればあるが、「応用」そのものの理論というものは事実上不可)ので、自分で迷いながら闇の中から選ぶしかないです。

しかし、「効率よい学び方」のセオリーはあります。

それは、分野情報よりも人にフォーカスすることです。

発展技法やスタイルなどは似たようなスタイルがいくらでも考案されているので、
どれかひとつやっても、これでいいのか、あれでいいのかと不安になる。

しかし、同じ人は二人いないので、自分が憧れる人の作風を徹底的に学ぶには迷うことがない。

要は、テクニックトラップにはまる段階にきてしまったら、師匠を見つけたほうがいいというわけです。

ただ、師匠も人間であるし、欠陥がある。教え方が間違っているなんてのもざら。流派によってはまったく基礎理論からはずれていることもある。

だからどうしても、不安になった時は、手っ取り早いスキル情報とか権威化されたセオリーに目が向きがち。

しかし、どんな人間にも重大な欠陥があるわけで、そういった定番技法にも欠陥はあるわけです。

完璧を求めようとすることが、
一番痛い失敗であるとも言えると思います。

本を買うよりも、師をもつというのは、すごく覚悟がいることです。しかし、

知識トラップにはまって止まっているよりは、ずっといいでしょう。

学ぶのは「スタイル」という情報でなく、人の魂そのものです。

だから場合によっては、自分の専門外のことをやっている人が師匠になることもあるかもしれませんね。

ちなみに、吉松さんの音楽の師匠は「鳥」だそうです。

「人」でないじゃないか、と早速つっこまれそうですが、しょうがない。鳥なんです。

「鳥」です。空に飛んでるヤツ、森にいるヤツです。

「その教えの一は〈鳥メロディ〉。彼らは地上最高のメロディ・メイカーである。そして、その〈さえずり〉という音の連結こそ、彼らの存在そのものであり美しき思想である。
そして、教えの二は〈鳥リズム〉。翼や羽根の流体力学的な動き、そして地面に下り立ち、首を回し、走り、立ち止まる…律動としての動き。それらは生を謳歌する聖なるリズムである。
さらなる教えの三は〈鳥モード〉。自由に空を羽ばたくその流儀(モード)は、大地と空との調和の中に生きる〈鳥〉の様式(モード)であり、歌の基調をなす旋法(モード)である。
それら3つの教えに導かれて、人は大いなる物語を語り始める。」

誰を師匠にしてもいいのです。それは意外にもすぐ近くにいるかもしれませんよ。


自分大学をつくる


今回は「自分大学をつくろう」というトピックで話してみます。

わたしは音楽関連の教養やレッスンなどを、ほぼ全て海外サイトから仕入れています。

無料のものも有料のサービスも試しています。

その中から特に有用なものを選んで紹介しているわけですが、

まだまだ面白くて良質なコンテンツは山ほどあります。

わたしはおとやガイドなので、音楽に関する情報のみ紹介しているわけですが、

実際は、他のさまざまな分野の学習ポータル、レッスンサービスや情報サイトにも遭遇しています。

そこで思ったのですが、ある分野の学習や情報を求めている人に、対症療法的にこのサイト良いよーと紹介することを続けていも、本質的には解決になってはいない。

その瞬間は役に立つので、全然無駄ではないですが、

本当は、一人一人が自分で情報源を探して、自分で自分に必要な知識にアクセスできるようになるのが一番です。

だから、試しに自分の興味のあることを英語でgoogle検索してみましょう。

きっと凄く充実したサイトがでてくるはずです。

と言っても、Googleという検索サイトだけでは、やはり媒体が大きすぎるので、途方に暮れてしまう方も多いと思います。

そこで、あらゆる種類の学習に便利なポータル系のサイトをいくつか紹介しますので、

まずはそこから、自分の興味のある分野を探して、何か講座をはじめて見てください。

ひとつの大きなポータルサイトを拠点とすれば、他のサイトを探す際の軸ができます。

無料のサービスも有料のサービスもあります。必要に応じて使い分けましょう。

教育の在り方を変えてしまった革命的なオンラインサービスです。これだけは知っておいた方がいいと思います。


音楽で笑いを起こす


今回は少し変化球です。

コメディアン/ミュージシャンの
Rob Paravonian

さんのパフォーマンス「パッヘルベル・ラント」です。

Pachelbel Rant

日本にもよくいる、「ギターと歌を使うコメディアン」スタイルです。

これは彼の一番有名なネタで、ご存知クラシックの名曲、ヨハン・パッヘルベルのカノンをパロディにしたものです。

英語ですが、音楽は言葉を超えます。見ているだけでなんとなく内容はわかるし、笑えてきます。

何を笑いのポイントにしているかというと、このカノンという曲の和音の進行についてです。

D – A – Bm – F#m – G – D – Em/G – A

この曲の有名な「カノン進行」というヤツで、これは現代のポップスでも数えきれないくらい流用されている王道の進行です。

とにかく万人受けのする定番の響きなのです。そのため使い古されていて、少々退屈でもある。そこをネタにしているのですね。

アンサンブルにおけるチェロの気持ちを代弁しているところで笑いが起きます(1:20)。

「バイオリンやヴィオラはとてもきれいなメロディを弾くけど、チェロはずっと同じ8つの四分音符を繰り返すだけなんだ。54回さ、数えたんだ。それ以外にすることなんてないんだ」

まとめるとこんな意味ですが、見た方が面白さは伝わります。

後半は、現代の名曲をとりあげて、それがカノンの進行にそれてしまうという展開。アブリル・ラヴィーンやエアロスミスの曲がいつのまにか「ラーラララー」につながってしまって、笑ってしまいます。

最後はビートルズの「Let it be」の歌詞を変えて、パッヘルベルを呪います。

五分たらずのショーですが、すごく笑えます。音楽は人間の意思によって笑いにも使えるのです。美しい名曲たちが一気に滑稽な舞台装置に変わってしまいました。

たまにはこういうのもいいでしょう。