JASRAC商法は独禁法違反なのか?


TOKYO BOOT UPで得た情報の公開です。

今日の話は大事なので、保存しておいてください。

セミナー参加者がお金を払って得られるはずの情報ではありますが、そんなにシークレットな会でもなかったですし、

隠してもいいはずがない問題なので、広がるほうがいいと思うのでいいます。

ちょっと堅い話かもしれませんが、あなたがもし音楽活動を行っているならば、知っておいた方がいいことです。

・JASRACは何をしている団体なのか?
・JASRACのやり方の何が問題なのか?

ということについて簡単に語ります。

まずはこちらをご覧ください。短いので1分で読めます。

2013/11/13
JASRAC、独禁法違反を否定した公取委審決「取消」判決を不服として上告

http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20131113_623383.html

JARACについては、ぼくら音楽人にとってはなにかと悪いイメージが多いですね。爆風スランプのファンキー末吉さんも

「JASRACとの戦いの日々」をブログに綴っています。

しかし、細かい世間事情については疎い(詳しい方はすいません)アーティストタイプの人々、

じつはJASRACについても「何かうるさいヤツら」ぐらいの認識しかなくて、詳しくは知らないという方も多いのではないでしょうか。

Japanese Society for Rights of Authors, Composers and Publishers
一般社団法人日本音楽著作権協会
略してJASRAC

◇JASRACは何をしている団体なのか

JASRACのしごとは、ミュージシャンの音楽著作権を一括管理することです。

たとえば、ある程度売れている歌手やグループは、放送局などメディアやカラオケボックスが自分の楽曲を使用する際、

楽曲使用の交渉、楽曲使用料の交渉などを、各メディアごとにいちいちやっていられないので、著作権をJASRACに委託します。

放送局は、直接ミュージシャンに楽曲使用契約を結ぶことなく、JASRACに定額(ここがポイントです)の使用料を払えば、登録されているミュージシャンの楽曲を使い放題できるというわけです。

そして、JASRACは使用料から管理手数料を引いた著作フィーを権利者であるミュージシャンに分配するという仕組みです。

関係を把握しましょう。

○楽曲の流れ
ミュージシャン(委託者)→JASRAC(受託者)→放送局(受益者)

¥お金の流れ
ミュージシャン←(管理手数料を引いた使用料)JASRAC←(楽曲使用料)放送局

となっています。

◇JASRACのやり方の何が問題なのか?

音楽業界、法曹会ではかなり話題になっている今回の「JASRAC独禁法違反訴訟、東京高裁判決」ですが、

皮肉なことに、当事者であるミュージシャンは関心がないようです。
会場でこの話を聞きにきていたのは、会場をみるかぎりわたしふくめ3人くらいでした。

裁判の具体的な内容は、リンクを見てほしいのですが、

要するに、

1.日本のほとんどの音楽著作権を一括管理し、手数料をたくさんとっているJASRACに対して、

公正取引委員会が「ちょっとやりすぎじゃあないかい?」といって「こりゃ独占禁止法違反ですよ」とジャッジし、

排除措置命令をとった。

2. JASRACが「独禁法違反してません」といって反発し、独禁法に違反していない訳を公正取引委員会に訴えかけた。

で、公正取引委員会は「ハイ、わかりました」といって、独禁法違反審決を取り消した。

3. このやりとりを見ていたe-License( JASRACと同様に音楽著作権管理の手数料ビジネスを行う団体、JASRACの存在によって競争が阻害されていると主張)が、

「ちょっとまってください。管理曲数もダントツ、使用量も定額でお得なJASRACさんが大人気すぎるので、

うちで管理している楽曲が使われなくて、商売ができません!」と、反論を投げかけ、公正取引委員会に対して

「JASRACに対する独禁法違反審決の取り消し、あれの撤回を求めます」と訴訟を仕掛けました。

e-Licenseも、JASRACと同じように音楽著作権管理事業を展開している団体ですが、JASRACとは違い、楽曲使用料が定額ではないのです。

だから、JASRACの、定額で楽曲使い放題という「包括契約」商法を争点として、e-Licenseが訴訟を起こしたわけです。

ちなみに、e-Licenseも包括契約を行って定額使用制度をつくれば、競争できるじゃん、とい疑問がありますが、そもそもe-LicenseはJASRACにくらべて圧倒的に管理楽曲が少ないので、

定額にすることによる利益面でのメリットがないため、それはできない、とある弁護士さんは言っています。

「独禁法違反審決の取り消し」の取り消しを求めるという構図なので、ちょっとややこしいですね。

この闘争を、次元を低くして、かわいく説明するとこういう感じです。

公正取引委員会「(*´3`) JASRACは儲け過ぎ。独禁法違反です」

JASRAC「( #・∀・)なん・・・だと・・・?」

公正取引委員会「(;・∀・) JASRACは独禁法してますって言ったけど、あれ、やっぱナシね!」

e-License「(*@_>@)つ 公取さん…それはないんじゃないかい?わたしたち、商売成り立ってないんですヨ」

公正取引委員会「(´;ω;`)・・・東京高等裁判所さん、どう思いますか?」

というやりとりです。で、その続きはというと、東京高裁がe-License側の進言を受け、

東京高裁「( ´_ゝ` ) 公正取引委員会はJASRACに対する『独禁法違反ジャッジメント、やっぱナシね!』発言を取り消しなさい」

公正取引委員会「(´・ω・)∩ 東京高裁さんにそういわれちゃ、仕方ないよね・・・わかりました」

JASRAC「(# ゚Д゚) なん・・・だと・・・?」

となり、JASRACは審決を不服とし、上告。この戦いの決着は最高裁判所での審決を待つことになる・・・

最高裁にまでもちこまれてしまい、裁判の決着がつくまでの時間はまったく未知数。いつまで長引くかわからない。

だから、
終わる頃には忘れられてそうですね。JASRACの事実上独占状態は問題だと思うので、ほんとうは目が離せないはずなんですが、あまりにも無関心な人が多い・・・・

はたしてe-LicenseはJASRACの牙城を崩すことができるのか?!

 

つづく・・・

以上が概要です。

ある弁護士さんの話によれば、彼らは仕事熱心なだけ、まじめすぎるだけなんだそうです。

昔、音楽著作権管理団体がJASRACひとつしかなかった時代から、ずーっと日本の音楽を徹底的に管理してきたから、その自負は相当つよい。

それが仕事ぶりにでて、かなり細かく使用料を徴収したりしようとして、まわりからみたらマイナスに見えることもあるというだけ。

システム自体は決して悪ではなく、著作者の権利をきちんと守るものでしょう。預ける預けないは自由ですが。

だから、官僚とかと同じように、「融通がきかない」とオコッたって無駄で、そういう性質なんだと理解して、感情的にならずに、そのシステムだけうまく使用すればいいのです。

著作権は支分権という、細かい権利の集合体の概念なので、楽曲の管理を何から何まで任せきりにしなくてもいいんです。

たとえば、ラジオやテレビなど大きなメディアで使用される際の権利はJASRACさんに管理をお願いするけど、小さいハコとか企業のプロモーションなどに関しては自分で管理・交渉・契約するんで、

そこは区別します、ということもできるわけです。
長くなりました。今日はここまでにしましょう。

いかがでしたか。JASRACという、何か得たいの知れないものの実態が、少しでも伝われば嬉しいです。

メルマガではもう少しつっこんで書いてます。

次回も、もう少しこの話が続きます。おつきあいください。

次のような内容を話そうと思います。

・ミュージシャンが気をつけるべきことは?
・ミュージシャンによる著作権管理事業団体ができれば、すごいビジネスになる

タイムリーなネタです。


現代ミュージシャンが絶対に知っておくべきこと


2013年11月、TOKYO BOOTUP Conference Day というイベントに行ってきました。

音楽活動の在り方を議論する、様々なコンセプトの合同セミナーでした。会場が3つあって、1時間単位でいろいろな内容をやっているから、好きなところを選んでみる、出入りは自由、というおまつりみたいなやり方でしたが、内容は濃かったです。

わたしがみたトピックは、
1. JASRAC独禁法違反訴訟の東京高裁判決が意味するもの
2.インディーズアーティストの起業と融資について
3.コンテンツとしての音楽の未来、サービスモデル
4.ミュージックディスカバリーという概念について
5.じぶんの音楽を売る方法
6.アーティストのプロフィールの書き方(意味不明なの大すぎ)
7.地方で活躍する音楽家たち。Global+Local=Glocalの音楽の在り方
8.ミュージシャンの海外進出について
9.無名だけど音楽で生計をたてている人たちの話

すべて、今の時代音楽活動していくには絶対に知っておかねばならない、貴重な話でした。

ただ、講師の方も嘆いていましたが、「会場にミュージシャンやアーティストの方はいらっしゃいますか?」ときいたところ、

ほとんどいなかった。きていたのは、音楽ライターとか事業として音楽を扱っているビジネスマンとかがほとんどで、

いちばん話を聞いてほしいはずのミュージシャンがぜんぜんいなかった。

TOKYO BOOTUPというのは、インディーズアーティストに向けた情報開示をしている団体なのに、肝心のミュージシャンがこないというのは、残念だな、と・・・
このあたり、イベント主催側とミュージシャン側では大きな意識の差があるのを感じましたね。

「あー、やっぱりそうなんですね・・・残念ですけど、ミュージシャンってこういう場にこないんですよ。ぼくもFacebookとかで告知していて、
彼らに場所も日時も目に入るようにしていて、大事な情報があるよってことは提示しているんですけど、それでもこないんですよ・・・めんどくさいんでしょうね。」

と講師の方がぼやいていました。

いくら良心的に情報を公開しようとする人がいても、肝心の知る側が閉じこもっていたら、どうしようもないですね。

これは、音楽関係だけではないと思いますが、このカテゴリでは特に顕著ですね。

「ビジネス系のことだろ?関係ねーし」とかいうばりばりアーティストみたいな人たちの声が想像できますが・・・

それでいいんでしょうか。知らないままで搾取されているままで、いいんでしょうか。もっとできること、いろいろあるのに・・・

一般的にいっても、「TPPは危険だ!多国籍企業による国家のっとりだ!」「自民党の憲法改正草案は民主主義を徹底的に破壊する、天皇を人質にとった官僚のクーデターだ!」

と危険性を叫ぶ人がいても「は?大げさだろ。関係ねーし」といって無視することが多い。これと同じ関係が、こんなところでも起きているのだな、

と実感しました。

ちゃんと考えているミュージシャンの人は、数人しかきていないよ・・・という感じでしたね。

知ろうとしない人たちは、結局とりかえしのつかない状況になってから、「ふざけんなコノヤロ」といって無責任におこりだす。

知ろうとしないのもいけないです。その姿勢はかなり問題です。

だます側は容赦しないのですから、こちらも情報という武器をもって戦わないと、人権なんてあったもんじゃないですからね。

彼らは容赦なく、若者、個人、文化人、新しいことをはじめようとする人たちを殺しにかかります。それを感じずにのほほんと過ごしていては、やばいです。ほんとに、このままじゃ悲惨なことになります。

と、前置きが長くなってしまいました。

ひとつずつ出していきます。