新音楽時代の幕開け


12月10日は、Frekul主催の下北沢MOSAICフリーライヴに行ってきました。
https://www.facebook.com/events/401788599949528/

12月9日は、同じくFrekul主催のトークライヴ
アーティストがCD販売に依存せずに生計を立てる新しい方法を探る
「Frekul Talk Live vol.1」
https://www.facebook.com/events/184720791728888/?source=1

に参加してきました。

トークライヴは、これまたオフレコ話と貴重な情報が集まりました。ただ有益な情報が得られるだけでなく、
これかの音楽に関して何か変えていこうとしている情熱的な人たちが集まっている場なので、
すばらしく建設的な会合です。マンションの一室でのクローズドな集会、まるでゲリラテロリストの秘密会議みたいです。

この集団で何か起こしてやろう!という感じがします。

次回は2014年1月15日(水)を予定しているそうです。

この内容に関しては、YOAKE MUSIC SCEANE 2014 レポート&スタディが終わった後に考察するとして、

今日は、10日のライヴについてのレポートを少しやってみます。

改めて実感したのは、本当に、時代は変わってしまったのだということ。

全バンドがFrekul登録者ということで、メールマガジンへの登録のお誘いや、
サポーター登録のお誘いなどをしていました。
直接お金を要求するわけじゃないので、これはありがたいシステムです。
だから申し訳なさそうにCDを「買え買え」
とは言わなくなりました。これはミュージシャンとお客の双方にとって救いです。
やってる側は売り込みなんかしたくないし、聞く側も売り込みは嫌いです。
音源欲しけりゃ後でメルマガ登録するか、CD欲しけりゃ自然に買うもんです。売り込みなんかしても無意味。いらないものはタダでも買いません。

これは象徴的な現象です。

ミュージシャンが自身でメディアを持ち、リスナーに直接アピールするようになった。

その手段として、当たり前のようにメールマガジンをやる。ブログやFacebookといった待ちの媒体だけでなく、メルマガというアクティヴに働きかける媒体を武器に支持者を増やしていく。

そのうち、メルマガをやっていないバンドは、相当な実力者でない限り、
ファン獲得も、ファンとの関係構築も、集客も運営も難しくなっていくでしょう。

ましてメディアをひとつも持っていないバンドは死にます。やる気がないのと同じ。
人に見せる必要がないと言っているにも等しいので、ライヴをする意味もありません。

多くのバンドマンは盲目になっています。幻想を信じ、過去のやり方にしがみついています。

また、お金の問題、運営の問題、集客の問題から目を背けて、直接的な解決策を探ろうとしません。

でも、この日集まったバンドは違いました。こういった課題に意識して取り組み、

自分たちの活動を守るため、伝えるために何ができるか、想像力を働かせて行動しています。

ミュージシャンはそもそも儲けることがそんなに大きなモチベーションにはならないことが多いので、

人を集め、聴いてもらうということに焦点を当てたFrekulのメルマガシステムは、

画期的です。収益を後から無理なく、お客さんが喜んで支払ってくれる形で発生させるという流れは、

コンテンツビジネスのセオリー通りでもあり、とても理にかなったシステムです。

ビジネス経験もIT知識もなかったという若いバンドマンが、自分たちのバンド活動への情熱を追求した結果、これほどすばらしい仕組みを作り上げた。そして、自分たちだけでなく他のミュージシャンにもシステムを開放した。

彼らの活動がまさに、新しい音楽活動の象徴。音楽の新しい時代の幕開けを意味していると思います。

今回のように、Frekul主催のイベントは定期的に行う方針のようですので、

きっと、回を重ねるごとに良いライヴになりそうです。知名度も上がって、Frekulの波が全国に広がっていくことでしょう。すでに1400もの登録者がいますからね。

次回、Frekul Music ShowCase Vol.2は、2014年2月26日(水)を予定しているとのことです。

早速ブッキングを開始するようですので、動向には注目しましょう。

ご自身のバンドで参加するのもいいと思います。

来年はこのイベントに出演することを目標にして、バンドを始めてみてはいかがでしょうか。

このイベントには協賛、つまりスポンサーがついており、そのために今回は無料になったのですが、

次回以降もきっとこの協賛はついていると思われます。無料になるかはわかりませんが、

何らかのサービスはあるはずです。

その協賛とは、SNSプロフィールカード一括管理・制作アプリ「iam」を配信している企業です。
Frekulと連携して何かアーティストのプロフィール制作支援のようなこともやっていくようです。
https://itunes.apple.com/au/app/jian-danpurofiru-jiao-huan/id722084222?mt=8&ign-mpt=uo%3D2

来年は楽しくなりそうです。


2014年のアーティストの販売方法-YOAKE MUSIC SCEANE 2014-


2013年11月25日に渋谷Quatroにて開催された音楽トークライブ
YOAKE MUSIC SCEANE 2014
主催:一般社団法人ミュージック・クリエイターズ・エージェント、OTOTOY, TOKYO BOOT UP!
特別協賛:京都精華大学
Create Your World!

このイベントのレポート&スタディをやっています。

前回までは、第一部「すぐ外側から見る音楽シーンの未来」について解説していきました。

第7回の今回からは

ディスカッション第二部2014年のアーティストの販売方法

にて得た情報をもとに、2014年の音楽活動方法をみていきます。

登壇者は

加茂啓太郎
ユニバーサル・ミュージック合同会社
ウルフルズ、氣志團、相対性理論、ベースボールベアーなどを発掘

渡辺淳之介
アイドルグループ BiS マネージャー

高瀬裕章
アイドルグループ でんぱ組.inc マネージャー

劔樹人
神聖かまってちゃん マネージャー
バンド あらかじめ決められた恋人たち (Bass)
バンド ミドリ の元メンバー

です。これも4人による対談形式で、司会の飯田仁一郎(OTOTOY編集長)さんによる質問に4人が答える形で進みました。

全体像から話すと、実は「いまバブル最盛期であるアイドルビジネスから学ぶ」2014年のアーティストの販売方法だったんですね。

それもそのはず、登壇者の4人は全員がアイドルをプロデュース・マネジメントするプロである音楽人なのです。

彼らは明確にビジネスとしてアイドルグループをプロデュースし、運営しています。

この日も、対談の合間に「BELLRING 少女ハート」通称「ベルハー」のライブがあり、このイベントのコンセプトは実は「アイドル」だったことがわかります。

なぜ、低迷を続ける音楽業界にあって、アイドルは売れ続けるのか。アイドルビジネスのカラクリとは?

ということを紐解いていきます。そして、ではそのカラクリを知った上で、実際にアイドル以外の音楽、つまりバンドやらソングライターアーティストやらを

売って健全に運営していくにはどうすればよいのか。アイドルのやり方から取り入れられることはあるのか?などということが議論されました。

詳しいことは次回から見ていきますが、結論を先にいっておくと、重要なポイントは以下の点です。

アイドルはなぜ売れるかというと・・・

・価格設定が絶妙
・アイドルの音楽というよりは、人・場・コミュニケーションに付加価値がある
・ライヴ感が強い
・制約が少ない(フットワークが軽い)
・コストが少ない(機材費などが少なくライブでの利益率が高い)
・アイドルはまだ権威化していない
・社会現象を起こしやすい(ビジネスを仕掛けやすい)

バンドがなぜ苦しいかというと・・・

・モテない(ルックスの問題)
・機材費が高すぎる
・ロックはすでに権威化してしまった
・バンドに面白みがなくなった
・社会現象としてのバンドが生まれにくくなった(ビジネスが仕掛けにくい)

さらに、リアルな話・・・

・アイドルブームはいつまで続くのか?
・来年以降、流行る可能性のあるバンドのコンセプトは〇〇バンドである

などがあります。


YOAKE MUSIC SCENE 2014 レポート&スタディ 総括


YOAKE MUSIC SCENE 2014 レポート&スタディ第6回。今回は

ディスカッション第一部「すぐ外側から見る音楽シーンの未来」
・・・WITH
椎野秀聰(しいのひでさと)
ESP,Vestax創業者

若林恵
雑誌『WIRED』編集長

竹中直純
OTOTOY代表

の、まとめです。重要な情報が含まれていますのでぜひ参考にしてください。

1. 新メディア×開拓者=革新

あるジャンルの低迷を救うのは、新しいメディア・技術の普及と、それを使いこなす天才の登場によるものだという話をしました。

現代では、そのようなムーブメントは起きにくいので、新技術開発や一部の天才に頼る思考は捨て、新しい発想をする必要がある、ということがわかりました。

2. ModificationとBasic Technology

創作や技術開発における、Modification(修正・変更)とBasic Technology(基幹技術)の考え方をみていきました。

完全なオリジナルはあり得ないということを理解したうえで、オリジナルでなくてもよいがネイティヴであれという教えを得ました。

BLUE NOTE RECORDS CEOのドン・ウォズの言葉が印象的でしたね。

これからの音楽活動で大事なことは

・無駄なものを排除して、経営をスマートにしろ
・音楽で大もうけできる時代は終わった。もう一発当てる必要はない。ふつうにくらせるだけ稼げればいい
・クソなレコードをつくらない!!

です。

3. これからの音楽は”United”だ!

現代まできて、変化した音楽の在り方、作り方の姿を明らかにしていきました。

ひとり部屋にひきこもってシコシコつくるよりは、多様なジャンルの人たちとの関わりやコラボレーション、

コミュニケーションの中で一体的に音楽が生まれていくようになる、そのポテンシャルが異常に高まってきたということがわかりました。

誰がつくったとか誰がパクったとか、格付け批評や著作権闘争とかやるまえに、音楽をみんなで楽しめるにはどうすればいいか考えようZE!

という思考の流れが見えましたね。

4. 歴史的考察からみる音楽の現状と未来

歴史的、未来学的にみたら、まだまだ文化としての音楽は若いということ、まだまだ無限の可能性があるということがわかりました。

「21世紀は、金(大資本)、組織、グローバル化に頼ったやつはもれなく死ぬ」という警告と、

これからは間違いなく、徹底的にフォーカスされた「個」の時代である、ということが重要な点です。

5. 成熟した社会はアートを育てる

人間社会は物質的に豊かになりすぎても、それは真の意味で幸福を生むことにはならず、逆に生きる意味の欠乏を見いだす。

そのことから、成熟した社会はアートを育てる傾向が自然であるということを説明しました。

日本は官僚社会がすっかり国を腐らせてしまったので、力を注ぐ対象が若者やアートではなく老人や利権になっており、

さいあく国が滅びるんじゃないかという危惧がありますが、世界の流れは積極的に若いアーティストを育てる方向にシフトしているのが

明らかです。ただ、日本もまだまだ希望はあり、大企業や国がアート支援に取り組んでいる例をいくつかあげました。

それが、ー地方で革命を起こす作曲家ー多胡邦夫さん

と、Red Bull Music Academy Tokyo 2014
http://www.redbullmusicacademy.jp/jp/magazine/red-bull-music-academy-tokyo-2014

です。

以上です。総括すると、すべてのテーマは「作品としての音楽と、人同士のコミュニケーションの一体化」という言葉でまとめられますね。

これからの音楽活動は、いかにコミュニケーションを付加価値としてつけられるかどうかが重要になってくるのです。作品のみのクオリティで争い続ける時代は終わりました。

ファンとの双方向の深い関係性を築き、人生単位で協力して、この腐敗し続ける世界を生き抜いていくことが大切です。一人でがんばっていても死にます。

かなり大量の情報がありますが、これを知っているのと知らないのとでは、これからの活動に雲泥の差がでます。

非公開の第4回、およびより詳しい内容はメルマガで公開しています。

知っているだけで、周囲より飛び抜けることができます。ぜひ活用してください。

次回からは第2部「2014年のアーティストの販売方法」について見ていきますのでお楽しみに。