ミュージシャンの海外進出?


複数回にわたって公開してきたTOKYO BOOT UPの情報ですが、そろそろおわります。

次は2013年11月25日渋谷Quatroにて開催された YOAKE MUSIC SCEANE 2014というパネルディスカッション&ライブイベントの情報を公開しようと思います。

これもすごかったです。ESP,Vestexを創業した椎野秀徳さんや、騎士団、相対性理論、ウルフルズを発掘した加茂啓太郎(ユニヴァーサル・ミュージック)さんのお話が、

音楽の未来を予見していました。音楽がインフレして絶滅しかけているミュージシャンはこれからどうすればいいのか、なぜアイドルは儲けるのか、2014年のアーティストの販売方法は?など

面白い話が多く、これも一度に書ききれません。

いま、音楽の在り方は本当にわけがわからないことになっており、業界の中心にいる方でも、予想がつかない状態であることを確信しました。だからこそ、いろいろな可能性があり、いま音楽はすごく面白いことに

なっているんだということも、改めて実感しています。

さて今日のテーマは

ミュージシャンの海外進出について

です。

日本だけでやるからいいよ、という方には一見興味のない話かもしれませんが、そういう狭い見方をぶっとばすような話です。

このテーマについて語ってくれたのは、ギタースラップ奏法などの独特の演奏で海外でも大人気の「サムライギタリスト」雅(みやヴィ)さんの

マネージャー新井智さんです。

ここでしてくれたのは、海外進出を目指す本格的なミュージシャンへのための心構えとか、そういう次元の話ではありません。それ以前のマインドの話です。

まず、「海外進出」という考え方自体が「ない」んだそうです。

だって、一度インターネット上に曲をあげれば、簡単に全世界からアクセスがくるのだから、そもそも海外にいくという概念がない。

誰だって最初から国内も海外も含めた世界を相手にしているのです。「まずは日本で活躍してから」とかいう考え自体がもう意味がないものになっているし、

そういうマインドでやってるやつはその時点で三流以下ということです。

だから、はじめから海外の人にも見られる前提、海外の人にもアピールする前提でやる。

それが、雅さんのマインドだというのです。さすがです。

雅さんは、ホームページもプロフィールも、全て英語と日本語の両方を併記。新井さんをマネージャーとして雇うときの面接も、

英語で行ったそうです。

「英語できない」は理由にならないそうです。いまどきミュージシャンであっても英語くらいできないといけない。

雅さんは26歳くらいのときに海外で活躍しはじめましたが、あるとき「3ヶ月だけ休暇をくれ」と所属事務所に言って、

語学留学をし、本当に3ヶ月で英語をマスターしてしまったそうです。

それから、海外のライブイベント業者との取引やマネジメントも、すべて通訳を通さず自分でマネジメント対応。

情報発信も本人が英語で行っています。

ほんとうに、だれでも英語ができることが普通になってしまう社会になっていくようですね、この先は。ミュージシャンですらできて当然になっていく。

英語ができないだけでチャンスが失われ不利になってしまう。

英語が苦手な人にとってはつらいでしょうが、そういう現実がすでにやってきてしまっているのです。

わたしは過去、「メタルギアソリッド2 サブスタンス」というゲームにはまったときに英語にもはまって集中的に覚えました。

だから英語に対してわりと抵抗がありません。情報も良質な海外記事を読むことが多いです。日本のメディアはアレですし。

「海外進出」という概念はもう消え去り、誰もがはじめから世界を相手にしているんだということを自覚しなければならない、そんな時代になっているということですね。

そういう、ミュージシャンとして、作り手として大切な精神を叩き込まれました。

わたしももっと意識して英語に慣れていこうと思います。できるかぎり触れるメディアは英語化しようと思います。iPodとかGoogleの設定もぜんぶ言語は英語にしました。

もちろん日本語も正しく使えないといけませんが・・・これはいわずもがなですよね。

ほんと、いまの人はやることがたくさんありますね。

それを楽しめるかどうかが鍵となるでしょう。


地方で革命を起こす作曲家


TOKYO BOOT UPカンファレンスで得た内容を公開しています。

今日のテーマは

「Glocal」「グローカル」地方から世界へ発信する音楽。

地方で革命を起こしているある作曲家の方を紹介します。

群馬県高崎市、多胡邦夫さん。

Every Little Thing,AKB48,浜崎あゆみさんなどに楽曲提供されていた作曲家です。

いまは出身地の高崎にもどり、ある壮大なプロジェクトを進めています。

「高崎市に市営の音楽スタジオを創設、ミュージシャンに格安で提供し、ミュージシャンを育て、世界に発信していくとともに、

高崎を日本が誇る、日本と世界をつなぐ音楽文化都市にする」

という計画です。

なんと、高崎市の市長と市議会によびかけて、市営の音楽スタジオをつくってしまいました。

http://www.city.takasaki.gunma.jp/soshiki/bunka/sisetu/tksound-gaiyo.htm

しかも、公共運営といっても安っぽいものではなく、多胡さん自身が全面的に設計をした、

「超本格プロ仕様のハイテクスタジオ」です。二階構造、天井3.5m、巨大ミキサー・フルコン(オーケストラで使用する最大サイズのピアノ)完備、

見学スペース、交遊用フリーエリア開放など、音楽人にとって夢のような施設です。

その名も「TAGO STUDIO」ずばり多胡さんの名前を冠したスタジオです。

日本では外国のように人の名前が施設の名前に使われることが少ないので、これは珍しい、すばらしく名誉なことです。

単なるアイデアの段階ではありません。構想から二年の歳月を経て、すでに完成間近なのです。2014年の2月に完成予定、3月にオープンとのことです。

ただし、使用するには条件があります。

・地元のアマチュアには基本的に貸さない
理由は、これだけ最強のスタジオだと、市内のほかのスタジオから(あまりないみたいですけど)お客を奪ってしまい、経営が成り立たなくなるからです。
また、高崎に外からのミュージシャンを呼び込むことも意図しているからです。外から有名なミュージシャンが訪れれば、市内が盛り上がりますからね。
ただ例外もあって、音源オーディションなどを行って審査が通り、将来的に高崎市に貢献するような関係を結べば使用できるようです。

・使用者は高崎市を盛り上げることに協力する
格安(ほぼ無料)で貸し出しする条件として、スタジオの広報に協力し、高崎市の活性化に協力してもらうということです。
地域を盛り上げる行動を対価とするわけです。
市が税金で運営するわけですから、当然ですね。

すばらしいです。これは革命ですよ。

日本の公共事業としてバンドを応援するスタジオをやるなんて、「そんな馬鹿な」という話でした。それが本当に実現するんです。

来年以降、きっと話題になりますよ。「高崎にすごいスタジオがある!」といって、高崎にミュージシャンが集まってきます。
作曲家で起業家の山口哲一さんは早速使用するみたいです。

それにしても、よくあの融通の利かない日本の市に「バンドマンを育てるスタジオ」などというカルチャー事業に予算を出すことに合意させたなと、多胡さんの交渉術には驚きます。

その理由は、たまたま現職の市長が芸術の地、フランスの大使館出身で、文化事業の支援に理解のある方だったからだそうです。前の市長には大反対されたそうです。

フランスでは、ある程度地位の高い人が芸術活動に積極的に経済的支援をするのがある種ステータスになっている(そういう人をパトロンという)ので、

パトロンの支援だけで生活している前衛芸術家などがいます。「山海塾」という舞踏の一派は、日本の芸術なのにフランスのパトロンの支援を受けて生活しています。日本じゃ応援してくれないからです。

市長も、議会とは相当の議論があったようですが、多胡さんの熱意が伝わり、実現しました。本当にすごい。

市長は「高崎をリヴァプールのような文化都市にしたい」とおっしゃっているそうです。リヴァプールの姉妹都市にしようと。こんな市長が日本にいるんだなと、奇跡だなと思いますね。

群馬はBOOWYやBUCK-TIKなど有名バンドを輩出した地なので、すでに地域として実績があり、音楽的イメージとしてアピールできるものを持っているわけです。

もし、BOOWYのあのお二人、あの二人のHさんが応援してくれることがあったら、いまはロンドンとL.Aにいるあのお二人が、もしメッセージをくれたり、訪れたりしてくれたら、

それはアツいことになりますね。たぶん、あの二人はもう一緒にやることはないでしょうけど(苦笑)、個別にはきっと地元の活動に協力してくれると思います。

群馬県の交響楽団とのコラボレーションも予定しているそうです。

すごいですよね!地方にもこんなにすてきな作曲家の方がいるんだと思うと、嬉しくなります。

あなたも将来利用してみてはいかがでしょうか。東京から電車でいける距離なので、ちょっと遠出すれば使えます。


アーティストプロフィールの書き方


まだまだ続きますTOKYO BOOT UP カンファレンスの内容公開。メルマガだけの限定公開でしたが評判が良かったので公開します。

今日は

アーティストプロフィールの書き方

です。インターネットなどの音楽SNSに登録するようになるとプロフィールを書く機会が増えます。そういう場合の書き方についてです。

ずばり、「ほとんどのインディーズアーティストのプロフィールは意味不明」ということでした。

なんとなくそれらしく書きたいことだけ書いてしまっている。

何が特徴的なのか、どこがほかと違うのかまるでわからない。

とくに

「独自の世界観で聴くものを〜」

「ボーカル〇〇の紡ぐ繊細な歌詞とギター〇〇の奏でる〜な〜で唯一無二のグルーヴを〜」

「キャッチーなメロにメランコリックなリリックで誰もの心をゆさぶる〜」

など、どこかで聞いたような自己紹介文(w)ほんとうによく見ますよね。

こういう紋切り型の文章でプロフィール欄を水増しする紹介文は、はっきりいって・・・

いらない、そうです。

それに、「誰もの心をゆさぶる〜」とか「唯一無二のグルーブを〜」とかは自分で書くことではないです。あたかも客観的な評価を紹介しているようにみえますが、

「それ、誰が言ってるの?」ときかれたら、たいていは答えられません。

「おれ」とか言っても、リスナーにとっては「しらん」です。

「独自の世界観」とか「唯一無二のグルーブ」なんてのも曖昧でよくわからないです。

「誰もの心をゆさぶる」こういう系なんて完全にウソです。とりあえず書いただけしょう。

こういう、はっきりしないのはやめましょうよ、ってことですね。

もしかしたら、こういう書き方をしている人もいるかもしれないので、具体的にはどのように書けばいいのか、ポイントをまとめておきます。

・100-150字以内で書く

これくらい短い方がいいです。
・具体的に書く
プロフィールをみただけでそのバンドだとわかるくらい具体的にします。プロフィールクイズをしたときに必ずわかるようにします。

・コンセプトを明確にする
バンドが作品をつくるからには何かテーマがあるわけで、何がやりたいのか、どういう世界を描こうとしているのかをはっきり伝える必要があります。
「ロック」「愛」「絶望」「鬱」とかいうジャンルだけでは広すぎるので、できるだけ具体的に言います。何がしたいのか。
ジェイク・シマブクロさんなんかわかりやすいですよね。「ウクレレだけ」でやるっていうはっきりしたコンセプトがあります。

・できるだけ正確に書く
これは細かい問題ですが、生年月日や名前の表記をいい加減にはしない方がいいです。できるだけ統一して、どのメディアで書く場合も同じにする。
あるところでは実名とか、あるところでは別名とか、名前と名字の片方だけ、ひらがなか漢字かカタカナか、ニックネームか、などなどいろいろばらけていると、
周りの人が混乱します。とくに、データベースを作成する人や事務系の人からは殺したいくらい恨まれます。検索でヒットしなかったり、同性同名のヤツが多すぎて見つけられなかったり、
面倒なことがいろいろ起きるからです。

重要なポイントは以上です。

プロフィールはアーティストにとってのプレゼンみたいなものなので、きちんと認識されたい、承認されたいと思うならしっかり作ったほうがいいですよ。
ビジネス用語でエレベータピッチという言葉がありますが、あれみたいに短い時間で何をしているのかはっきり伝え、興味をひくようなプロフィールをつくった方がいいです。

「理解されなくてもいい」「わけわかんなくてもいい」「わかりやすく伝えるとか野暮」「ミステリアスな方が魅力的」という人は別ですが・・・曖昧なプロフィールがアート性を高めるなどということは決してないので、

そこだけは注意してくださいね。完全に無視される覚悟がない限り、それはしない方がいいです。

わたしたちが世に自分を発信しはじめたとき、最初にくる反応は、応援でも賞賛でも、バッシングでも批判でも侮蔑でもありません。

ただ圧倒的な「無視」です。誰からも相手にされない。これは私自身体感しています。どれだけ呼びかけてもひたすら無視。

わたしは半年間ほとんど毎日、Facebookやメルマガを通じて、とにかく叫び続けて、いまようやくかろうじて認知されるようになりました。Facebook文豪なんて呼ばれることもあります。

存在を認知されない限り、生きてはいないのと同じなのです。だからわたしはこうして情報発信をし続けている。それは、自分の人生を定義しなおすために必要なことなのです。

他人に仕掛けられた虚構の人生を取り戻すために必須の戦いなのです。

本当に伝えたいことがあるなら、プロフィールははっきり書きましょう。

さいあく、長くても情熱がこもってればいいと思います。おもしろくてわかりやすければ読む人はいます。

ほかの人とにたようなプロフィールでは、無視され続けます。

いまいちど自分と向き合って、プロフィールを書いてみてください。